故障探究
クルマのトラブル箇所を導きだす「故障探究」実習
実習の概要
いくら高性能になっても、車の故障はつきもの。だからこそ整備士の出番があります。点検にしても修理にしても、作業の第一歩は、まずどの箇所に不具合がでているかをつきとめること。ロスなく的確に作業を行うために必要不可欠な技術、「故障探究」について学びます。
実習レポート
例えば、部屋の電球が点灯しなくなったとき。多くの場合は電球の交換で解決できるはずです。ところが、替えたけれど点灯しない場合。みなさんならどうしますか?スイッチの接触が悪くなっていないか、ケーブルが断線していないかなど、想像はできても特定することは難しく、なおかつ修理するとなると素人では手に負えないことも。ところが、「はい、それはスイッチの不具合です。」と素早く判断できれば、手間も時間もかけずに解決できるはずです。
この電球が自動車のヘッドライトだとしても同じこと。自動車の電装系は家庭の配電システムと比べたら複雑極まりない世界ですが、AUTではそこに自信を持って答えをだすための実習を11日間にわたったプログラムで学びます。
「故障探究」では、電装系を中心に授業を展開。ヘッドライトをはじめ、ウィンカー、ブレーキランプなどの灯火系や、ウィンドウウォッシャーやワイパーなどの基本構造やシステムを理解し、そのトラブルにつながる故障箇所の特定方法を学びます。
例えば、ヘッドライトが球切れ以外の原因で点灯しない場合。まず、4、5人の班の中で役割を決め、回路図をくまなくチェックし、不具合が生じている可能性をもった箇所を推測しながら絞り込みます。次に、テスターを用いてそれぞれの箇所の電圧を測定。正常値と比較することでさらに絞込み、故障箇所の特定を進めます。
10日間の実習が終了すると、最終日に実技試験を行います。教員が任意に故障を設定した自動車を用意し、その特定の正確さと所要時間を評価。実際の現場を想定し、お客様に対する説明の方法や、自動車を作業中の傷や汚れからいかに守るかについての配慮も採点に含まれます。この作業の結果によって修理の内容や見積もりが決まるため、お客様にご納得いただけるコミュニケーション方法も欠かせないのです。
故障を探しだす技術だけではなく、お客様にご安心いただくための接客や話法についても修得するのです。
実習の様子
テスターを用い、故障の推測される箇所の電圧をチェック。正常値との比較を行います。
回路図を参照しながら故障の可能性がある箇所を確認。
測定結果をもとに、故障箇所を特定。先生をお客様に見立てて説明します。
一つひとつ確認しながら作業は進みます。
先生のアドバイスも重要。故障探究のツボをその場で確認できます。
受講した学生のコメント
電子回路図を見るだけで、ついアレルギー反応を起こしてしまいがちな電装系の講義。でも、故障探究の実習を受けると、故障箇所を特定するスピードと精度をあげるためには、回路に関する講義内容を十分に理解しておくことの重要性に気づかされます。推察と検証の繰り返しに、プロの視点を持った先生方のアドバイスが加わって、より実践的なプロセスを学ぶことができます。